ドアを開けたら・・・

気楽にドアを開けたらニュースの林…  3つのブログをまとめました

お雛さま



かるびがいない事を少しずつ受け入れられるようになったこの頃、
外の風景が春らしくなっていたことに気付いた。
梅の花が咲き、チューリップの芽も土から頭をのぞかせている。
小さな春を探しに、津和野まで出かけることにした。

津和野の町の四季折々の風景が好きで、
冬は色のない水墨画、春は淡く煙るパステル画、
夏は原色の油絵、秋は枯葉がにじむ水彩画みたいだ。

津和野の三松堂さんまでは、かるびといつも通った道のりで、
桜の花びらが雪のように舞っていたり、
空の青を映した川に鮎釣りの人がいたり、
燃えるような彼岸花の赤い色が鮮やかだったり、
凍てついた空気が吐く息を白くしてたり、
そして時折、SLの汽笛が遠くにあったりした。

三松堂さんに伺うと、なんとも可愛らしいお雛様のようなお菓子があって、
夫と二人で、かるびに買って帰ろうとすぐに決めた。
お互いに考えることは同じみたい。




春の香りのする桜餅




そして大好きないちご大福

三松堂さんのいちご大福ってとても不思議で、
食べると、いちごの甘さと餡の甘さがうまく混ざり合って
お互いの甘さをひきたてていく。
美味しいなあ~~っと思った瞬間には、もう、口の中にはない。
かるびにも食べさせたかったな。いちごだけだけど。

三松堂さんから、私たちのことをとても心配していただき、
温かなお茶をいただきながら、色んな話をした。
遠く、そしてときどき和菓子を買いに来るだけの私たちを
本当に心配してくださって、とてもうれしかった。

温かな豆茶と三松堂さんの和菓子は、津和野の風景そのものだ。
素朴でどこかなつかしい風味のお茶に丁寧に作られた和菓子は、
山間の小さな町にあって、それぞれに自信に満ちた生業がある。


帰りの道のりも、かるびとあちこち遊んだ場所があって、
涙が溢れそうになる。
今、こんなに悲しくて辛くても、
かるびと暮らした楽しい日々は、かけがえのない私たちの宝物だ。

1歩、また1歩、楽しかった日々に向かって歩けるようになれるかな。